シンガポール・アジア文明博物館(ACM)の見どころ|海を越えてつながったアジアを体験

シンガポール川沿いに建つ、Asian Civilisations Museum(アジア文明博物館/ACM)。

マーライオンやフラトンホテルにも近く、観光中に前を通ったことがある人も多いのではないでしょうか。

私も存在は知っていました。

でも、

「アジア文明博物館って、結局何が飾ってあるところ?」

と聞かれると、正直よく分かっていませんでした。

中国?インド?東南アジア?

「アジア文明」と言われると範囲が広く、どんなものが見られる博物館なのかイメージしにくい。

今回、両親と1歳の息子と一緒に、日本語のガイドさんによるツアーに参加してきました。

実際に巡ってみて分かったのは、ACMはアジア各地の文化が、どのようにつながってきたのかを知ることができる博物館だということ。

今回は、日本語のガイドさんと実際に巡って「これは面白かった!」と思った展示を中心に、ACMの見どころを紹介します。

目次

この記事はこんな人におすすめ

  • シンガポール観光で、アジア文明博物館(ACM)に行くか迷っている
  • ACMには何が展示されているのか知ってから行くか決めたい
  • シンガポール在住で、ACMの前を通ったことはあるけれど中に入ったことがない
  • 日本語のガイドツアーではどんな話が聞けるのか知りたい
  • 子連れでもACMを楽しめるのか、実際に行った人の体験を知りたい

「ACMってどんなところ?」と思っている人が、自分も見てみたい展示があるかどうかを探しながら読んでもらえたらと思います。

ACMの見どころ|日本語ガイドさんと巡ってみた

今回参加した日本語ガイドツアーは、約1時間。

館内にはたくさんの展示がありますが、その中から主要なものをピックアップしながら案内してもらいました。

一つひとつは違う時代、違う地域のもの。

でも、ガイドさんのお話を聞きながら巡っていくと、少しずつそのつながりが見えてきました。

見どころ① 約1,100年前の交易が見える「沈没船ギャラリー」

まず印象に残ったのが、沈没船ギャラリー。

ここに展示されているのは、約1,100年前に海に沈んだ交易船から実際に発見された品々です。

正式には「Tang Shipwreck(唐代沈没船)」と呼ばれるもので、1998年、現在のインドネシア・ブリトゥン島沖で発見されました。

船から見つかった品は、なんと約6万点。

その多くが、中国で作られた陶磁器でした。

ギャラリーに入ると、沈没船から引き揚げられた大量の器がずらり。

1,100年以上も前に、これだけ大量の商品が海を渡っていた。

まず、その規模に驚きます。

さらに面白かったのが、積まれていた陶磁器。

中国で作られたものですが、輸出先で好まれるデザインを取り入れたものも作られていました。

中には、中東の人々の好みに合わせた模様やデザインが施された器も。

中国の職人が作っているけれど、使うのは遠く離れた中東の人たち。

(そんな昔から、海外のマーケットに合わせて商品を作っていたんだ!)

と驚きました。

この船自体も西アジア・中東方面とのつながりを持つ交易船で、中国で作られた大量の商品を積んで海を渡っていたと考えられています。

誰が作って、誰が欲しがって、どこまで運ばれていったのか。

沈没船から見つかった品々を見ていると、約1,100年前の海上交易がぐっとリアルに感じられました。

見どころ② 陶磁器から見えた、アジアの「ビジネスの生存戦略」

今回、私が一番「へえ!」と思ったのが陶磁器の話でした。

当時、中国の陶磁器は非常に高い技術で作られていました。

白く、薄く、装飾も繊細。

海外でも高く評価され、

「中国の陶磁器が欲しい」

という大きな需要がありました。

そして、中国の陶磁器を欲しがっていたのは、アジアや中東だけではありません。

ガイドさんから聞いて面白かったのが、ヨーロッパの貴族たちのオーダーメイド陶磁器の話。

ヨーロッパでは、自分たちの家紋を入れた中国製の陶磁器をセットで揃えることが流行していたそうです。

自分たちの家紋の下絵を用意して、それを船で中国へ送る。

中国の職人は、その絵を見ながら家紋入りの陶磁器を作っていたのだとか。

今でいう、海外へのオーダーメイド注文のようなことが行われていました。

そしてACMには、そのやり取りを想像するとちょっと面白いお皿も展示されていました。

中国へ送られた家紋の下絵が滲んでしまっていたのですが、中国の職人が、その滲みまでそのまま再現して作ってしまったというお皿です。

完成品を見ると、

(そこまでそのまま作ったんだ!)

と思わず笑ってしまうようなエピソード。

でも、これも当時の交易をすごくリアルに感じられる展示でした。

陶磁器ひとつを通して、当時すでに世界規模で「注文して、作って、運ぶ」という商売が成り立っていたことが分かります。

そして、中国の陶磁器をめぐる話には、もうひとつ面白い展開があります。

中国の政治状況が変わり、海外との交易が制限されるなど、中国から陶磁器が十分に入ってこなくなる時期が訪れます。

でも、

「中国のような陶磁器が欲しい」

という需要は残っている。

そこで、その需要に応えていったのが、日本やベトナムなど周辺地域の陶磁器でした。

日本でも中国の陶磁器から技術やデザインを学びながら、自分たちで作るようになっていきます。

この話を聞きながら、私は、

「これって、ビジネスの生存戦略みたいだな」

と思いました。

いいものがあれば学ぶ。

市場に欲しい人がいるなら、その需要に応える。

そして、中国からの供給が変化すると、それまで中国が担っていた市場に、日本やベトナムなど周辺地域の陶磁器が台頭していく。

中国の技術やデザインから学びながら、そこに自分たちの技術や文化を取り入れ、それぞれの土地ならではの陶磁器へと発展させていく。

周辺国の状況が変わることで、新しい産地にチャンスが生まれ、そこからまた新しい文化が育っていく。

何百年も前のお皿を見ているのに、そこで起きていたことは、なんだか今のビジネスにも通じるものがあるように感じました。

中国、日本、ベトナム。

海を越えた交流の中で技術やアイデアを受け取り、それぞれの土地で発展させていく。

陶磁器から、そんな文化のつながりまで見えてくるのが面白かったです。

見どころ③ 仏教からイスラム教まで並ぶ「宗教・信仰ギャラリー」

陶磁器や海上交易とはガラッと雰囲気が変わるのが、宗教や信仰にまつわる展示です。

ここには、仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教、イスラム教、キリスト教、祖先信仰など、アジア各地の宗教や信仰にまつわる像、美術品、儀式に使われたものなどが並んでいます。

特に印象的だったのが、仏像やヒンドゥー教の神々などが並ぶ空間。

同じ宗教でも、伝わった地域によって像の姿や表現が違います。

インドで生まれた宗教や考え方が、人の移動や交易によってアジア各地へ伝わっていく。

そして新しい土地へ伝わると、そこで暮らす人たちの文化や考え方が加わり、その土地ならではの表現が生まれていく。

文化は、伝わって、混ざって、また新しいものになっていく。

沈没船や陶磁器とはまったく違う展示ですが、ここでもアジア各地のつながりを感じることができました。

見どころ④ 火縄銃から感じた「日本人のものづくり」

そして、日本人として特に面白かったのが火縄銃について聞いた話です。

日本語のガイドさんによると、海外から日本へ火縄銃が伝わったとき、日本では手に入れた火縄銃を分解し、

「これはどういう仕組みで動いているんだろう?」

と、その構造を学んでいったそうです。

そして、ただ海外から完成品を買い続けるのではなく、自分たちでも作れるようになり、さらに技術を高めていった。

この話を聞いて、

(なんだか、すごく日本らしい)

と思いました。

海外に優れたものがあれば、まず徹底的に学ぶ。

どうやって作られているのかを理解する。

自分たちでも作れるようになる。

そして、同じものを再現するところで終わらず、技術を磨いて自分たちのものにしていく。

先ほどの陶磁器の話にも、どこか通じるものがあります。

中国の陶磁器から学び、日本でも作るようになり、やがて独自のものへと発展させていった。

火縄銃でも、海外から入ってきた技術を学び、自分たちで作り、さらに技術を高めていった。

外から入ってきた優れたものを吸収して、丁寧に磨き上げ、自分たちの技術として発展させていく。

昔の火縄銃の話なのに、今にもつながる日本のものづくりの強みや特徴を見ているようで、個人的にとても印象に残った話でした。

展示が多いからこそ、日本語のガイドさんと巡ってよかった

実際にACMへ行ってみて感じたのが、

展示物が、とにかく多い。

一つひとつ説明を読みながら背景まで理解しようとすると、かなり時間がかかります。

しかも、知識がない状態で見ると、

「きれいなお皿だな」

「昔の像だな」

と、そのまま通り過ぎてしまいそうなものもたくさんあります。

だからこそ、今回は最初に日本語のガイドさんと約1時間、主要な展示を巡れたことがとてもよかったです。

全部を説明してもらうというより、

「この博物館のどこを見ると面白いのか」を最初に教えてもらう。

そんな感覚でした。

この器がなぜ価値のあるものなのか。

このデザインがなぜここにあるのか。

違う地域で作られたもの同士が、どうつながっているのか。

背景を聞くことで、展示そのものの面白さが分かります。

私たちは約1時間のツアーに参加したあと、さらに30分ほど自分たちで館内を見て回りました。

まずガイドさんと主要な展示を見る。そのあと、気になったものを自分でもう一度見る。

展示量の多いACMでは、この回り方が私たちにはちょうどよかったです。

1歳児連れで日本語ガイドツアーに参加してみた様子

今回は、大人3人と1歳の息子で参加しました。

息子はちょうど、とにかく自分で歩きたい時期。

1時間、大人と一緒に静かに説明を聞くのは難しく、途中からかなり飽きていました。

今回は大人が3人いたので、順番に息子と遊びながらツアーに参加。

誰かが息子を見ている間に、ほかの大人がガイドさんのお話を聞く形で回りました。

そして、大人のツアーが終わったあとは息子の時間。

館内にはACM&Meという子どもが遊べるスペースがあり、息子もここでは思いっきり遊ぶことができました。

大人は博物館を楽しんで、そのあとは子どもにも遊んでもらう。

そんな流れにできたのは、子連れとしてありがたかったです。

ACMで見えたのは「海を越えてつながってきたアジア」

今回訪れるまで、

「アジア文明博物館って、結局何を見るところ?」

と思っていました。

実際に巡ってみると、一見まったく違う展示の背景に、いろいろな地域とのつながりがありました。

約1,100年前の船に積まれていた、中東向けの中国の陶磁器。

ヨーロッパから家紋のデザインを送り、中国で作らせていたオーダーメイドの器。

中国からの供給が変化する中で台頭し、独自に発展していった日本や周辺地域の陶磁器。

アジア各地へ伝わり、その土地の文化と結びついていった宗教。

そして日本へ伝わり、自分たちの技術として磨き上げられていった火縄銃。

アジアの文化は、海を越えて人やモノが行き交い、お互いに影響を与えながらつくられてきた。

ACMは、そんな「海を越えてつながってきたアジア」を、実際に残っているモノから知ることができる博物館でした。

シンガポール観光でACMへ行こうか迷っている人も、シンガポールに住んでいて「何があるんだろう?」と気になっていた人も。

この記事の中に、

「これ、実物を見てみたい」

と思う展示がひとつでもあれば、訪れるかどうかを決める参考になればうれしいです。

終わりに

このブログでは、在住者がおすすめするシンガポールの楽しみ方や見どころについて他にも発信していますので、観光の参考にしてみてくださいね。

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また、Instagramでは、在住者おすすめのシンガポールの観光地や子どもと楽しいお出かけ先について発信しています。よければそちらも覗いてみてください。

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この記事を書いた人

シンガポールで駐在帯同中 第一子育児中のアラサー主婦です!

この国での妊娠・出産をきっかけに子どもとの日常を発信しています。
シンガポールで暮らす・旅する家族に役にたつ情報をまとめていきます。

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