カンポングラムのシンボル、スルタン・モスク(Sultan Mosque)。
金色の大きなドームが印象的で、カンポングラムを歩けば一度は目にする場所です。

私もこれまで何度も前を通ったことがありました。
でも今回初めて参加してみたのが、スルタン・モスクで開催されている無料のガイドツアー。
所要時間は20〜30分。
ガイドさんと一緒に、普段観光客だけでは入れない礼拝堂や、礼拝前に身体を清める場所へ入ることができます。
そしてそこで教えてもらえるのは、
なぜ祈る前に身体を清めるのか。
なぜ1日に何度も祈るのか。
祈るとき、何を大切にしているのか。
なぜコーランを大切に扱うのか。
といった、イスラム教徒の人たちが行っていることの意味や、その背景にある考え方。
さらに、最初につくられたスルタン・モスクの姿や、現在の建物になった経緯など、モスクそのものの歴史についても教えてもらいました。
建物を見るだけでは分からなかった、そこで祈る人たちが何を大切にし、なぜその行動をしているのかまで知ることができるツアーでした。
今回は、実際に参加して知ったことと、無料ガイドツアーの参加方法を紹介します。
スルタン・モスクで無料のガイドツアーに参加
スルタン・モスクでは、英語の無料ガイドツアー、
「FREE ONSITE GUIDED TOUR」
が開催されています。

テーマは、
“The Grand Mosque of Singapore: A Beacon of Faith and Heritage”
イスラム教の習慣だけでなく、スルタン・モスクの歴史や建築についても教えてもらえるツアーです。
私が訪れたときは、
- 10:30
- 11:15
- 14:30
- 15:15
の1日4回。
所要時間は20〜30分、各回15名まででした。
モスク内にある「MEET OUR GUIDES HERE!」という案内が集合場所です。
最初のスルタン・モスクは、今とは違う姿だった
ツアーは、スルタン・モスクそのものの歴史のお話から始まりました。
今では大きな金色のドームが印象的なスルタン・モスクですが、最初から現在の姿だったわけではありません。
ツアーでは、最初につくられた頃のスルタン・モスクの姿を見せてもらいながら、そこからどのような経緯で現在の建物になったのかを説明してもらいました。
普段何気なく見ていた建物にも、現在の姿になるまでの歴史があります。
さらに現在のスルタン・モスクは、シンガポールのNational Monument(国定記念物)に指定されています。
そのため、建物を自由に改装できるわけではなく、改修する際にも許可が必要なのだそう。
歴史的な建物として守られながら、今も人々が日々祈る現役のモスクとして使われています。
ガイドさんと一緒に、普段は入れない礼拝堂へ
モスクの歴史について聞いたあとは、実際に礼拝が行われている場所へ。

通常、観光客だけでは入ることのできない礼拝堂にも、ツアーではガイドさんと一緒に入ることができました。
ここでは、イスラム教の礼拝について説明してもらいます。
どのように祈るのか。
なぜそのような動きをするのか。
一つひとつの行動にどんな意味があるのか。
実際に人々が祈っている場所に立ちながら聞くことで、「礼拝」というものが少し具体的に見えてきました。
ただ祈っているのではなく、一つひとつの行動にも意味がある。
外からモスクを見ているだけでは分からなかった部分です。
モスクの内装は、実はそれぞれ違う
建物についての説明でおもしろかったのが、モスクの内装について。
モスクには、礼拝する方向を示すものなど、必要なものがあるそうです。
一方で、それ以外の部分については、色や形、デザインなどに自由があると教えてもらいました。
私は「モスク」と聞くと、なんとなく世界中で同じような形や内装になっているものだと思っていました。
でも実際には、それぞれの地域や建物によって違いがあります。
そのことを知ってから改めてスルタン・モスクの中を見ると、内装そのものを見るのもおもしろくなりました。

礼拝の前にする「お清め」を実演
そして特に印象に残ったのが、礼拝前のお清めです。
イスラム教では、礼拝の前に身体を水で清めます。
ツアーでは、実際にお清めをする場所まで案内してもらい、ガイドさんがその方法を実演してくれました。
手や顔、足を洗い、鼻にも水を入れて清めていきます。
「礼拝の前には身体を清める」
と聞くだけなら、知識として覚えて終わっていたと思います。
でも実際に使われている場所で、その一連の動きを目の前で見る。
すると、そのあと礼拝堂で祈っている人を見たときにも、
「この人たちはここに来て身体を清め、祈る準備をしているんだ」
と、祈っている姿だけでは見えない、その前の行動まで分かるようになりました。
コーランをとても大切に扱う理由
イスラム教の聖典、コーラン(Qur’an)についても教えてもらいました。
ツアーで印象に残ったのは、コーランがどれほど大切に扱われているのかということ。
コーランを扱う前には身体を清めます。
さらに、そこに記されている言葉は神の言葉として大切にされているため、文字そのものにも直接手を触れないように扱うと教えてもらいました。
「コーランはイスラム教の聖典です」
という説明だけでは、なかなか分からないことです。
どのように触れるのか。
その前に何をするのか。
なぜそこまで大切に扱うのか。
そうした具体的な行動まで知ることで、イスラム教徒の人たちにとってコーランがどのような存在なのかが少し見えてきました。
コーランは、人から人へ伝えられていた
コーランがどのように伝えられてきたのかという話も、とても興味深かったです。
昔は現在のように紙に書かれたものだけではなく、人々が言葉を記憶し、人から人へ伝えていたそうです。
しかし戦いなどによって、その言葉を記憶していた人々が失われていく。
大切な言葉を後世へ残していくために、書かれた形でも伝えられるようになったという歴史について教えてもらいました。
今目の前にある一冊のコーランにも、そこに書かれた言葉を守り、次の世代へ伝えてきた長い歴史がある。
「なぜコーランをこれほど大切に扱うのか」という話ともつながって感じられました。
世界で初めて? アザーンにスピーカーを使ったスルタン・モスク
イスラム教徒の人々は、1日に5回礼拝を行います。
その礼拝の時間を知らせるための呼びかけが、アザーンです。
そしてツアーで聞いて驚いたのが、スルタン・モスクとアザーンの歴史。
ガイドさんによると、世界で初めてアザーンにスピーカーを導入したのが、ここスルタン・モスクなのだそう。

調べてみると、1936年にスルタン・モスクのミナレットにスピーカーが設置され、シンガポールがアザーンにスピーカーを使った世界初の都市になったという記録が残っています。
では、スピーカーがなかった時代は、どうやって礼拝の時間を知らせていたのでしょうか。
ツアーでは、まず大きな太鼓を鳴らして合図をし、その時間のアザーンを担当する人が高いところへ上がり、自分の声で人々に礼拝を呼びかけていたと教えてもらいました。
スルタン・モスクの四隅にあるミナレットには階段があり、伝統的にはその上のバルコニーからアザーンが行われていました。
そして1936年、そこにスピーカーが設置されます。
今では、モスクからスピーカーを通してアザーンが聞こえてくる光景は珍しくありません。
でも、その方法が世界で初めて試された場所がシンガポールにあり、それが今自分が立っているスルタン・モスクだった。
そう知ると、建物の上にあるミナレットも単なる装飾ではなくなります。
あそこから実際に人が街へ向かって、礼拝の時間を呼びかけていた。
建物の形にも、そこで暮らしてきた人たちの行動や信仰の歴史が残っていることが分かりました。
そして現在も、アザーンは録音されたものを毎日同じように流しているのではなく、そのときに人が実際に呼びかけているそうです。
カンポングラムを歩いていると、ときどき聞こえてくるアザーン。
これまでは「モスクから聞こえてくる音」として聞いていました。
でも、その声が何のためのものなのか、そのあと人々が何をするのかを知ると、単なる街の音ではなくなります。
これから礼拝が始まることを、人々に知らせている声なんだ。
その音の向こう側で行われていることまで分かるようになりました。
礼拝する人たちが「なぜそうしているのか」が見えてくる
今回のツアーで一番おもしろかったのは、イスラム教についての知識が増えたことだけではありません。
モスクを訪れれば、祈っている人の姿を見ることはできます。
でも、見ているだけでは、
なぜ祈る前に身体を洗うのか。
なぜ1日に何度も祈るのか。
祈るとき、何を大切にしているのか。
なぜコーランをこれほど丁寧に扱うのか。
その行動の背景までは、なかなか分かりません。
今回のツアーでは、実際に礼拝が行われている場所に入りながら、一つひとつの行動にどんな意味があるのかを教えてもらえました。
だからツアーのあとには、礼拝している人をただ「祈っている人」として見るのではなく、その人が何を大切にし、何を思ってその行動をしているのか、その背景まで少し想像できるようになります。
シンガポールでは、街を歩いているだけでも、さまざまな宗教や文化に触れることができます。
でも、その姿を「見る」ことと、その行動の意味を「知る」ことは少し違います。
建物としてのスルタン・モスクを知るだけではなく、そこで祈る人たちの行動の意味まで知ることができる。
それが、このツアーに参加して一番おもしろかったところでした。
無料ガイドツアーの参加情報
私が訪問した際の案内は以下の通りでした。
ツアー名
FREE ONSITE GUIDED TOUR
“The Grand Mosque of Singapore: A Beacon of Faith and Heritage”
料金
無料
所要時間
20〜30分
開催時間
10:30/11:15/14:30/15:15
定員
各回15名まで
言語
英語
場所
Sultan Mosque
3 Muscat Street, Singapore 198833
モスク内にある「MEET OUR GUIDES HERE!」の案内が集合場所です。
20〜30分という短い時間ですが、スルタン・モスクの歴史や建築だけでなく、そこで祈る人たちがなぜその行動をするのか、その背景にあるイスラム文化まで知ることができます。
カンポングラムを歩いていて目にするモスクや礼拝する人々、そして街に響くアザーン。
それぞれを「シンガポールらしい風景」として見るだけではなく、その向こう側にある人々の祈りや考え方まで知りたい人に向いているツアーです。
※開催時間やツアー内容は変更される可能性があるため、訪問時には現地の案内をご確認ください。
終わりに
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