シンガポールで暮らしていると、いろんな文化やルーツを持つ人たちが一緒に暮らしていることは、日々感じます。
チャイナタウンがあって、リトルインディアがあって、カンポングラムがあって。
街を歩けば、いろんな言葉が聞こえてくる。
でも、考えてみると、
この国がどうやって今の姿になったのかは、あまり知りませんでした。
今回訪れたのは、シンガポール国立博物館で開催されている特別展「Once Upon a Tide」。

日本語のガイドさんと一緒に展示を巡ってみると、
なぜシンガポールにこれほどいろんな文化の人が暮らしているのか。
今ある土地や街は、どうやってつくられてきたのか。
そして、その発展をどんな人たちが支えてきたのか。

普段何気なく暮らしているだけでは知らなかった、「今のシンガポールができるまで」が少しずつつながっていきました。
シンガポール国立博物館はこんな人におすすめ

- シンガポールに住んでいて、この国のことをもっと知りたいと思っている人
- チャイナタウンやリトルインディアなど、いろんな文化が共存している理由を知りたい
- バクテーなど、普段出会うシンガポールの食文化の背景を知りたい
- 旅行で有名な観光地を巡るだけでなく、「なぜシンガポールはここまで発展したの?」も知りたい
- 歴史を詳しく勉強するというより、今のシンガポールにつながる話を楽しく知りたい
ひとつでも気になるものがあれば、ぜひ訪れてみてほしい場所です。
「Once Upon a Tide」とは?
「Once Upon a Tide」は、シンガポールと海との関わりを通して、この土地の約700年の歴史をたどる特別展。

昔からシンガポールには、海を渡ってさまざまな土地から人や物が集まってきました。
人が集まり、物が交換され、新しい価値が生まれていく。
そして港が発展し、土地が広がり、そこで暮らす人たちによって、少しずつ現在のシンガポールが形づくられていきます。
展示では、昔の写真や絵、資料、映像などを見ながら、その変化をたどることができます。

今回特に面白かったのが、日本語のガイドさんのお話を聞きながら展示を見られたこと。
展示を見るだけでは通り過ぎてしまいそうなものにも、
「これって、そういうことだったんだ」
という発見がたくさんありました。
街でよく見る「Raffles」、実は人の名前
シンガポールを歩いていると、あちこちで目にする「Raffles(ラッフルズ)」という言葉。
Raffles Place、Raffles Hotel、Raffles City……。

実は「Raffles」は地名ではなく、Sir Stamford Raffles(サー・スタンフォード・ラッフルズ)という人物の名前です。
ラッフルズは1819年にシンガポールへやってきて、イギリスの交易拠点を築き、その後の街づくりにも大きな影響を与えました。

もちろん、それ以前からこの土地には人々が暮らし、交易が行われていましたが、ラッフルズの到来は、その後のシンガポールの発展につながる大きな転換点のひとつになりました。
旅行中に何度も目にする「Raffles」という名前と、この国の歴史がつながる。
「だからRaffles Placeも、Raffles Hotelもこの名前なんだ!」
そんな、今のシンガポールにつながる発見ができるのも、国立博物館の面白さです。
小さなシンガポールが「国を大きくした」方法

シンガポールは、もともと国土の限られた小さな国。
そこでこの国が昔から続けてきたのが、海を埋め立てて、土地そのものを増やすことでした。
その歴史は古く、ラッフルズがやってきた1820年代には、現在のシンガポール川周辺でも埋め立てが行われていました。
そして独立後、さらに大規模な埋め立てを進めていきます。
ここで驚いたのが、「砂」の重要性。
海を埋め立てて土地をつくるには、とにかく大量の砂が必要です。
シンガポール初代首相のリー・クアンユーもかつて、この国の発展には近隣国から「砂」と「労働者」を集めることが必要だという趣旨の演説をしたと伝えられています。
そして、その砂はシンガポールにとって、石油などと同じように国家的に備蓄するほど重要な資源になっています。
(砂って、そんなに貴重なの?!)
砂といえば、どこにでもあるものだと思っていました。
でもシンガポールにとっては、海を陸に変え、国そのものを大きくするために必要な資源。
展示されている昔の写真を見ると、小さなシンガポールが、砂と人の力によって少しずつ国土を広げてきたことが分かります。
今ではビルが建ち、道路が走っている場所の中にも、かつては海だった場所があります。
「土地が足りないなら、土地そのものをつくる」。
そんなシンガポールの国づくりを知れるのも、この展示で面白かったところです。
そして、その土地に街をつくるためには、働く「人」の力も必要で、実際に働いたたくさんの人たちがいました。
今のシンガポールをつくった人たち

展示を進んでいくと、シンガポールで働いてきた人たちの姿が出てきます。
港で荷物を運んだクーリー。
建設現場などで働いたサムスイ・ウーマン。
遠い土地からシンガポールへ渡ってきて、ここで働き、暮らした人たちです。
展示には、当時の人たちの生活を再現したものや、働く様子を描いた作品などもあります。
今では近代的なビルが立ち並ぶシンガポール。
でも、その街ができるまでには、実際に荷物を運び、道路や建物をつくり、この土地で生活した人たちがいた。
「シンガポールが発展した」という大きな歴史だけではなく、その中で暮らしていた人たちの姿まで知ることができます。
バクテーにも、シンガポールで働いた人たちの歴史がある
そして面白かったのが、今のシンガポールで身近な食べ物とのつながり。
例えば、バクテー。

今ではシンガポール名物として知られている料理ですが、昔の労働者の食文化と深いつながりがあります。
港などで力仕事をしていた人たちが食べていて、広がったと言われているそうです。(諸説あり)
普段は「シンガポールのおいしいローカルフード」として食べていたものにも、ここで働いていた人たちの暮らしがつながっています。
博物館で昔の労働者たちの姿を見たあとに知ると、
(バクテーって、ただの名物料理じゃないんだ)
と、その背景まで知りたくなりました。
「Samsui Ginger Chicken」のSamsuiって?
もうひとつ印象に残ったのが、サムスイ・ウーマンの話。
中国からシンガポールへ渡り、建設現場などで働いた女性たちです。彼女達は生涯独身のまま、仲間同士で助け合いながら生きていたとの話も。
展示では、当時の女性たちがどのように働き、暮らしていたのかを知ることができます。
そして、ここでつながったのが、シンガポールではおなじみの「Soup Restaurant」。
人気メニューに「Samsui Ginger Chicken」があります。
これはまさに建設現場で働いていたサムスイ・ウーマンたち、中国から渡ってきた彼女達から広まったものという説があります。
今のシンガポールで何気なく目にしている名前や料理の中にも、この国をつくってきた人たちの歴史が残っている。
そんなことを知れるのも面白かったです。
いろんな人が集まることこそが、シンガポールの価値
昔からシンガポールには、海を越えてさまざまな土地から人がやってきました。
商売をする人、働く人、ここで新しい暮らしを始める人。
違う文化や言葉、習慣を持つ人たちがこの場所で出会い、交流することで、シンガポールは発展してきました。
展示を進んでいくと、その流れが過去だけのものではないことも分かります。
現在のシンガポールにも、さまざまな国から多くの人がやってきて、働き、暮らしています。

いろんな場所から人が集まること。 そして、違う背景を持つ人たちがここで出会い、交流すること。
それこそが、昔から続くシンガポールの大きな価値なのかもしれません。
日本語のガイドさんと巡るのがおすすめ
今回、参加してよかったと思ったのが、日本語のガイドさんによる案内です。
もちろん展示を見るだけでも楽しめます。
でも、シンガポールには中国系、マレー系、インド系をはじめ、さまざまな文化があります。
自分に馴染みのない文化の展示は、その背景を知ることで、より深く楽しめるようになります。
日本人にとって馴染みのない文化について、「ここはこの説明があった方が理解しやすい」というポイントを織り交ぜながら話してくれるので、初めて知るシンガポールの文化もすっと理解することができました。
住んでいる人なら、普段目にしている街や食べ物の背景をもっと深く知るきっかけに。
観光で初めて訪れた人なら、「いろんな文化がある国なんだ」で終わらず、なぜそうなったのかまで知るきっかけに。
シンガポールの歴史や文化をこれから知りたい人にこそ、日本語のガイドさんと一緒に巡るのがおすすめです。
日本語のガイドさんによるツアーは開催日時が決まっているので、参加したい場合は訪問前に日本語ガイドの公式サイトで最新情報を確認するのがおすすめです。
観光なら、お土産探しやランチも一緒に
シンガポール国立博物館は、展示を見るだけで終わらないのも観光で訪れやすいポイント。
館内には、シンガポールらしいアイテムが並ぶおしゃれなお土産ショップがあります。

いわゆる定番のお土産だけではなく、デザイン性のある雑貨や小物なども並んでいて、
「せっかくなら、ちょっとおしゃれなシンガポール土産を探したい」
という人にもおすすめです。
博物館でシンガポールの文化や歴史を知ったあとに、その土地らしいデザインのお土産を探すのも楽しい。
さらに、館内にはランチや休憩に使えるカフェもあります。

木を基調とした明るく落ち着いた空間なので、展示を見たあとにそのままランチをしたり、次の観光地へ向かう前にひと休みしたりできます。
「シンガポールの歴史や文化を知る+お土産探し+ランチ」までまとめて楽しめるので、旅行中の観光先としても組み込みやすい場所です。
暮らしている人にも、旅行で訪れる人にも
Once Upon a Tideを巡ると、
今のシンガポールをつくっている土地、街、人、食文化の背景が少しずつ分かってきます。
シンガポールで暮らしている人にとっては、普段この国で出会う食べ物や街並み、いろんな文化が、どんな歴史の中で生まれてきたのかを知ることができます。
背景を知ることで、街を歩いたり、ローカルフードを食べたりする中でも「あ、これ博物館で聞いた話だ」と気づくものが増えて、シンガポールでの毎日がもっと楽しくなる。
そして旅行でシンガポールを訪れた人にとっては、マーライオンやマリーナベイを見るだけでは分からない、なぜこの小さな国が、人や物が行き交う東南アジアのハブへと発展してきたのかを知ることができます。
昔から海を通じて人や物が集まり、異なる文化が出会い、そこから新しい価値が生まれてきたシンガポール。
今目の前にあるシンガポールが、どうやって今の姿になったのか。
観光するだけではなく、その国のことを少し知って帰りたい。そんな人におすすめしたい博物館でした。
終わりに
いかがだったでしょうか。このブログでは、在住者がおすすめするシンガポールの楽しみ方や見どころについて発信していますので、観光の参考にしてみてくださいね。

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